読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Wowee Zowee !

わーうぃーぞーうぃー!

信号機

さ行

▼自分が信号機だったらと考えることがある。どんな人が向こうからやってきたら、僕はいつもより赤信号を、青信号を、あるいは黄色や点滅を長くしたり短くしたりするのだろうと。おじさんが急いで走ってきたらきっと渡らせてあげるだろう。がんばってる人には少しの幸運を演出してあげたいと思う。素敵なコが歩いてきたら迷う。行く手をさえぎれば長くそのコを見続けることができる。でも早く渡らせてあげればそのコは喜ぶかもしれない。この信号、いつもタイミングがいいんだよなと思ってもらえれば僕を通るルートを頻繁に採用してもらえるかもしれない。カップルに対してはどうだろう。二人が付き合うようになってからの期間や様子で判断だ。長い赤信号が幸福な時間を育むかもしれないし、早い切り替えがプラスに働くこともあるだろう。ドスドスと下品な低音を響かせる車がやってきたらさっさと通してしまおう。でもさっきの「タイミングいいからここをいつも通ろうルール」がその車に採用されたら迷惑だな。赤でじゃましてやろうか。でもあれが長いことひとところにとまっていても喜ぶ人間はいないだろう。
 
 
▼毎日規則的な時間にそこへやってくる人々もいるだろう。そのような人々の表情や服装をみてあれこれ考えたりすることはとても楽しいに違いない。ただ一方向からしか見られないことには留意する必要がある。帰り道(あるいは行きの道かもしれないが)は後ろ姿しかお目にかかれない。まあ朝と夜の後ろ姿の違いだけでも、見ることはきっと楽しいことなのだろうとは思うのだが。
 
 
▼現実には状況を全てコントロールできるわけではなく、赤⇒青⇒黄の順番は守らなければならないし、そんなにころころと切り替えるタイミングを変えてしまっては事故のもとだろう。きっと僕は信号機になっても整備のおじさんに言われたとおりに動くのだろうと思う。ときどき疲れてぼーっとして切り替えを忘れたり、夜中の誰も見てないときに全部つけたりして遊ぶことはあるかもしれない。
 
 
▼信号といえば、幼いころ、早朝の信号機が黄色で点滅したままなのを見るのが好きだった。父親と釣りに行くときによく見たのだった。信号と海が遠い記憶でつながっている。