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Wowee Zowee !

わーうぃーぞーうぃー!

【2015年間ベスト】2015 WZ! BEST MUSIC vol.5  10-1

BEST DISC 音楽

10. June / Acronym


 
北欧のアンダーグラウンドテクノから。アンビエントな質感も漂う謎ミュージック。ミニマルな展開に酔う。
 
 

9. Garden Of Delete / Oneohtrix Point Never

GARDEN OF DELETE [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] アマゾン限定特典マグネット付 (BRC486)

GARDEN OF DELETE [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] アマゾン限定特典マグネット付 (BRC486)

前作と一転して攻撃的な幕開け。すごいアルバムだ。この内容をこのタイトルでまとめあげるその手腕に感服する。思春期の妄執…、そうG.O.Dだ。削除の庭に、グロテスクな顔をひたかくしにしたそれでいても醜悪な「ポップ」の嘘が種としてまかれ、花ひらいたらこんなものができちゃいました(ゲロゲロ)
でも、やっぱりサイバーメタルってなあに。まあかっこよけりゃ、なんだっていいんだけど。
 

 
 

8. 今の時代がいちばんいいよ / 前野健太

今の時代がいちばんいいよ (Errand Press Music Book)

今の時代がいちばんいいよ (Errand Press Music Book)


「今の時代がいちばんいいよ」というタイトルを初めて目にしたとき、やられたと思った。その直接的なアイロニーに、街ゆくおじさんは「自衛隊に入ろう」との近似を話していたけれど、作品を通して聴くともっともっと複雑な思いを抱えた一曲であることが浮かび上がってくる。
 
「今の時代がいちばんいいよ 新しい街でもいいよ」…愛や恋という言葉を使わなくても適切にそうなっていくように、こちらが時代や街をどう評価しようと、それらはそこにある。どうせ受け入れるすきすら与えられないままどんどん変わっていくのだから、今の時代がいちばんいいと言っても言わなくても、やつらには関係ないのだ。それでも、今の時代がいちばんいいと言わなければなかった。そのこと自体が、全方位に強烈なカウンターを示していると思う。そしてそれは、これからどんどん悪くなるならば、常に未来から見て「今」がいちばんいい時代だということでもあり…。
 
それにしてもこの人は本当に、なんてかっこいいんだろう。近年の活動の反動としての側面もあるだろう、極めてシンプルな弾き語りアルバム。既発曲も、弾き語りになることでその魅力の本質が浮かび上がっている。そして居並ぶ極上の言葉たちは「うた」を通して言葉以上になって宙に舞う。「野蛮なふりをして」は、「新しい朝」(ライブver.が最高だ)にも通ずる記録と記憶についての楽曲で、彼はこういうものを歌わせると天下一品だ。照れ隠しの悪ふざけみたいないつものカッコよさはないけれど、とても誠実で、今でなければならなかった音楽たち。2015年の最後にこの作品を聞けて本当に良かった。本屋さんで買えます。もう、それすらもアイロニー
 

前野健太 「今の時代がいちばんいいよ」(Official Audio)
 
 

7. Levon Vincent / Levon Vincent

レヴォン・ヴィンセント

レヴォン・ヴィンセント

 
ジャンルこそ違うが、Young Echoが、アンダーグラウンドミュージックを社会への無言の牙で研ぎ澄まし、夜のフィーリングで上梓した1stのことを思い出してひとり感動する。NYテクノシーンの雄、10年選手にしてファースト・アルバム。日本限定CD化。音数が絞られていながら立体感が強く、いつまでも踊っていられるアシッドハウスになっている。こんな夜ばかりなら、朝は来なくてもいい。
 

Levon Vincent - Levon Vincent LP [Full Album | HQ]
 

6. White Men Are Black Men Too / Young Fathers

White Men Are Black Men Too [期間限定・特別価格/ボーナストラック収録 / 国内盤](BRC463W15)

White Men Are Black Men Too [期間限定・特別価格/ボーナストラック収録 / 国内盤](BRC463W15)

 
このタイトルである。スコットランドギリシャにスペイン、あるいはドイツやフランスの…そうした先進諸国に起きていることを眺めながら、もはや先進国というタームすらバカバカしい響きがあるなと思う昨今。でもそれは、テレビやパソコン、タブレットの向こうに「世界」を見た気になっているものの戯言で、安保の傘で骨抜きにされた末路というやつなのかもしれない。何が悲劇で、何がそうでないのか。それすら分からないのに、プロフィール写真をトリコロールに染めてる場合ではないのだ。その前からずっと、見えないところ、見ようとしないところで弱者が自爆し、殺し合っている。死傷者という表記になったとたん命が数に変わり軽く扱われる光景をいやというほど見せられる日々に、何を思えばいいのか。彼らがマーキュリープライズを受賞するくらいには、ポップが状況と結び付く土壌が欧米にはまだ残っている。この国のポップがいまいち力を持たないように見えるのは、僕らがまだ平和であるということなのか。それだけならよいが、そう思わされている、そう信じたいと思っているだけならばどうだろう。危険のランプが点滅している…。ポップの魔法は爆弾1つにすら勝てないことが公になりつつある今に、それでもと前に進めるかあるいは正しく信じられるものもなく、信じたい何かにすがるしかないという状況に加速度的に堕していくのか。この違いはとても大きいと思う。震災後に傷ついたこの島国を麻痺させるために、あるいは不安がナショナリズムと結び付くのをたきつけるために繰り返された自慰的なニッポンのことなんか放っておこう。僕らは正しく誇りを持たねばならない。極東のうなだれてばかりの青年にも、彼らのOld Rockn' Rollは確かに届いている。
 


 

5. Jerk at the End of the Line / Only Real

Jerk at the End of the Line

Jerk at the End of the Line

 
なるほどBeckか。ウェスト・ロンドン発のサイケな脱力酩酊ヒップホップ。トラックからはノスタルジアも感じる。ストリートポップとしてこういうのも出てこないとね。
 

 
 

4. Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit / Courtney Barnett

Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (TRCP182)

Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (TRCP182)

 
今作のタイトルが示す通り、アートワークとしていくつかの椅子が象徴的に取り上げられている。椅子には椅子ごとの座り方、があると思う。それは周囲の景観や状況に左右されない、椅子そのものの解釈だ。オフィスチェアにはオフィスチェアなりの、電車の座席には座席なりの座り方…。ゆえに僕はいつも大きめのソファに上手に座ることができずにまごまごしてしまうのだった。
その点、彼女のたたずまいには強さがある。
これが発表されるまでの間、僕はこのニューヒロインのことを過小評価しすぎていた。ここで鳴らされているのは拠り所を失った かつてのインディキッズたちへの皮肉と愛をこめた鎮魂歌であり、希望そのものだ。インディてなあに?とか言いながらそれがタグづけされた音楽を愛し続けた僕のような愚か者にとっても、いやそういうものだからこそテメーのような人間のことなんかしったこっちゃねえよというこのサウンドとけだるい言葉たちが、福音として響いてくる。ああ、スティーヴン・マルクマス…彼のことを尊敬しながら生き続けてきて良かったなあなどと思うのである。ヘッドフォンで自閉して、街へ出よう。これはオルタナ世代の、ブルーズだ。
 

Pedestrian At Best - Courtney Barnett 
  
  

3. Obscure Ride / Cero

Obscure Ride 【通常盤】

Obscure Ride 【通常盤】

 
Contemporary Exotica Rock OrchestraからContemporary Eclectic Replica Orchestraへの変貌を高らかに、それでいてムーディーに宣言する冒頭を聴きながら、大傑作の『My Lost City』後のEP2枚のことを思った。『Yellow Magus EP』でのブラックミュージックへの明確な接近と、『Orphans / 夜去』に収録されていた小沢健二の再解釈…。そう、Eclectic。今作のT2に配置された「Yellow Magus」のリアレンジでそれは確信に変わる。これは、最高にかっこいいレプリカだ…!

2012年に2ndを1位に取り上げたとき、印象的なリリックとして最終曲「わたしのすがた」を取り上げている。そこで表明されていた違和感。「ああなんか 一切のがっさいが 元通りになったよなこの街 ああそうか ほんの1年くらい前は 文字通り 眠り込んでいたんだな」今回全編を通して描かれる、その違和感を内包したままそれでも全てが予感のまま進んでいくその姿は、不安が出たりひっこんだりしながら流れゆく僕らの日々のフィーリングそのものである。そしてラストでは「思い出せ / 忘れるわけないだろう」と歌われる…あの日、この国にはあまりにも多くの事が起きた。あれから間もなく5年だが、都市はその態度をいまだ決めかねているように思える。
 

cero / Summer Soul【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


  

2. Yesterday's Tomorrow / Phony PPL

Yesterday's Tomorrow [Explicit]

Yesterday's Tomorrow [Explicit]

ブラックミュージックのバンドシーンが活況だったこの年に、群を抜いて良かったのが彼らだ。ソウル・R&B、ヒップホップにジャズ、ロック、ポップ…幅広く豊富なバックグラウンドをいかんなく発揮。メロディアスかつムーディでシンプルによい、のだ。





1. 魔法がとけたあと / Lantern Parade

魔法がとけたあと

魔法がとけたあと

 
これが否定からのそれでもの最前線。
オールタイムベストともいえるほど、余りに素晴らしかった『夏の一部始終』以来のバンド編成での新作。大傑作だった『夏の一部始終』がどこかにロマンティシズムを漂わせながら引き算の美学で音を構成していたとするならば、この溌剌とした鍵盤を中心に隙間すらも重ねられて描かれる音像は、ドライなとげを含んだそれでもな言葉たちがよどみなく効果的に「流れて」いく様を表現しているかのようだ。実際、キラキラとしたそれらは、小鳥のさえずりにも、川の水面にも、朝の木漏れ日にも聞こえるし、見える。居並ぶ言葉たちの適切な哀しさよ。さわやかな曲調に乗せて事務的に受刑者の肛門を覗き込む刑務官が描かれるT2、生きることは嬉しいことや悲しいことが待っていることだと繰り返すT3、「いつもの」が「いつかの」に変わるT8、そう記録と記憶…。
 
感動しながら聴いていたらT7で頭を殴られた。「移り気な女の心 振り回されたい男 水たまりは空の色 大切なのは空しさだ」僕がふらふらとここでずっとうわごとのように繰り返していたことを冒頭のわずか数秒でコンパクトに言い当てられた気分だった。2分にも満たない一瞬の清涼剤のような楽曲だが、その存在感はとても大きい。「点字ボランティアに励む死刑囚 暁に祈る人 水たまりは空の色 大切なのは悲しみだ 悲しみの方が大切だ そして押しつぶされない気持ちだ」このやるせなさは、全部正しい。魔法がとけたあとに必要になるのは、そういう抜き差しならないものを越えてきたそれでも、だと思うのだ。そして最終曲では平易な言葉で誰にとっても当たり前のように思える光景を描きながら、「誰もが詩や歌のような日々を送っている」と肯定する。僕らは、生活ではなく人生を生き、そして行かなければならないとそう強く思う。
 

Lantern Parade「魔法がとけたあと」【Official Music Video】