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Wowee Zowee !

わーうぃーぞーうぃー!

2015年8月12日の断片日記

ベルセバのスチュアートが監督をした映画を観てきた。これね(映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』公式サイト
 


「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」予告 - YouTube

 
▼衣装もかわいらしいし、ゴダールらへのオマージュもあって楽しい(マディソンダンスみたいなシーンも、女は女であるみたいなシーンも下手でよかった)もちろんスチュアートやベルセバ本体の音楽も素晴らしく、どこから切っても楽しめる作品だと思う。主人公であるところの摂食障害もちの女の子・イヴを含めた「バンド」の3人の成長物語としての側面も見られる、ある意味では健康的な作品だと思う。私には大人の導きが必要だ、だなんて地味だけどすごい良いセリフだと思うし、10ccやパールジャムのバンド名の話もあの空気感の中で話すことにとても意味があると思った。こういう作品を10代に見てほしいと思うんですがね。僕が見たときの劇場にはベルセバ世代と思しきおっさん(僕もだ)&おねいさんと、こじゃれた大学生しかいなかったぞ!(ベルセバ世代って何?)
 
 
▼それはともかくとして。僕は「おいていかれる話」が好きだ。敗北主義、変わっていく君を変わらず見ていたいよの精神。ハッピーエンドが嫌いなわけではないけれども、報われなさが愛おしくて、身につまされて、でも出会いにも別れにも選択にも必然性があって、それでいて別の選択肢がちらつくような、どうしようもない話が好きだ。本作の登場人物たちにもそういう関係性が横たわっていた。キスのくだりもよかったよ…。
 
 
▼2009年(あの辺りでベルセバ的な生活への憧憬をやっと捨てた気がする。精神性はいまだに宿っていると信じているが!)に、今回の映画と同名のアルバムがGod Help The Girl名義で出されていて愛聴していたのだけれども、リリース時のインタビューで映画にもなるんだよ、と話しているのを聴いて以来、ずっと待ち焦がれていた。本当に期待通りの作品で満足している。そして何より(僕は音楽に生かされてきた人なのでどうしてもそっちの話になるんだけど)、この映画を見たことで、ようやく7枚目以降の明るすぎるベルセバが自分の中で消化できたような気がする。GHTGを観終えた後、作風が少しライトになってからの最近の数枚をすんなりと聴けるようになった。幼いころに小さな生き物を無邪気にあやめたり、純な悪意でものを壊したりするような、あの瞬間の背徳感と高揚感を、夢見心地で古ぼけたサウンドで異化してくれていたあの分裂気味な音が好きだった僕には、最近の音作りは少しばかり不満だったんだよ。それでも、これでもう大丈夫。いくつになっても聴ける音楽が増えるというのは楽しいことだし、幸せなことだ。


▼スチュアートは、この映画について「僕の若い頃に起こった神聖な出来事の全て、そして起こらなかった神聖な出来事の全てを表現しているようなものなんだ。」と語っている。それはサニーデイが僕に「誰にでもあるはずの、他の誰かの映像的記憶と心情の移ろい」を教えてくれたのとほとんど同じことで、そういうものがある限りにおいて、僕は不在であった自己に、現在・過去・未来における不在そのものに楔を打つことができるのだ。そういう体験の入口になってくれたんだ、どうしたって評価は甘くなるってもんだね。
 

▼そんな僕のベルセバとの出会いはベタに『The Boy With The Arab Strap』の「Dirty Dream Number Two」だった(Jeepstar時代のビデオが本当に大好きなんだよ…!)そこから初期の音源も集めたりした。やっぱり2枚目とかアルバム未収録の初期シングル集とかもいいよね。どれも大事な音楽になってくれた。映画のサントラから入る人には、たぶん『The Life Pursuit』がよいだろう。のちに映画のエンドロールで流れることになる「Dress Up In You」も入っている(驚くほどぴったりだった!)。もちろんサントラにも入ってるけど、ね。
 
 
Belle and Sebastian - Dirty Dream #2 - YouTube