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Wowee Zowee !

わーうぃーぞーうぃー!

【2014年間ベスト】2014 WZ! BEST MUSIC vol.7  10-1

10. Agar - EP / The Mattson 2

Agar

Agar

 

 
デビューからずっと好き、アメリカ西海岸サーフシーンの雄、ジャズ兄弟の新作EP。前作のようなスペーシーなプロダクションの曲もあるが、やはりライブを意識したインプロな楽曲の素晴らしさが際立つ。ドラムス大活躍。ジャム感大好きな方はぜひ。
 

9. Xen / arca

Xen [帯解説・ボーナストラック収録 / 国内盤] (TRCP178)

Xen [帯解説・ボーナストラック収録 / 国内盤] (TRCP178)

 
『&&&&&』の中には本当に、何でもあるなあといま聞いても思う。&で結ばれたあまりにも美しい音楽は、聞くたびに表情を変え、聞き手の内にある開いたことのない扉を開けるそんな作品だった。arcaの音楽を聴いていると、自分の潜在意識には何があるのかということが少しずつ明らかにされるような気になってくる。この若き才能の最新作は、これまでで最もパーソナルで内省的な作品だという。ジェシー・カンダによるアートワークと併せ聴いた時、あなたには何が見えるだろうか。
 

Arca - Xen (Official Video) - YouTube
 
 

8. ペーパークラフト / OGRE YOU ASSHOLE

 
前作『100年後』が歌詞を含めたその世界観があまりにも素晴らしくて、これ以上の作品はなかなかと思っていたが、中村宗一郎らとともに作り上げてきたその音楽をさらに1歩推し進めていて驚いた。キャリアももう10年になるのだから、ある意味では当然なのかもしれないけれど、ずいぶん遠くまで来たように思える。
 
前作を評して「『僕にとって』で僕の世界はできていて、しつこいようだけどきっとこの世界にはもともと何もないんだ。何もないことを認められない僕らが作り出した色とりどりのものも、100年経ったらおしまいね。安心するよね。幸せだよね。どうせ死んじゃうってことはさ。ないことは、なくなってしまうことは、なんて美しいんだろう。」なんて僕は書いたけれど、今作の音楽は「ある」ことに極めて意識的だと思う。何もないように見える場所にこそ何かが「ある」ということ。たとえば時代を覆う空気感なんていうものを1つとっても、それは実態のないものだけれども、確かにそこにある。だから、ほんの些細なきっかけであんなにも恐ろしいことを簡単に信じたり、実行に移したりするんだ…。
 
それにしてもペーパークラフト、というのは絶妙なタイトルだと思う。紙で作られたその立体たちは、当然ながら光の加減で陰影をさまざまに見せるし、我々の見方一つでさまざまに表情を変える。実際の建築物などと異なるのは、それを手にとって向きを変えるなどしてそれらを確認できることだ。さらに言えば、それらは手と紙とその他デスクトップ上でできることで完成までこぎつけることができる。僕らの周りにはもっとそういうものがあるんじゃないのか?そしてそうした身近さを持ちながらもそのことを忘れてしまうような「作品」もあるのがペーパークラフトの世界で、「意外と上手にできている」からこそ、生じる問題もあるだろう。
 
「ムダがないって素晴らしい」などという極めて両義的で(両義性で言うならば、ラテン的なリズムが随所にみられるのに、まったく陽性の印象を受けないところも美しいなと思う)セクシーな言葉で聴き手を魅了して、「ある」ということにもっと情緒を持たないといけないななどと反省させられているところに、急にメロディアスかつ豊潤なサックスの音色が飛び込んでくる。これは何かあるなと身構えつつ、それでもその音の気持ちよさに身をゆだねていると最後にノイズだけ残して「誰もいない」とか、ああ、やられた。とにかくとてもいい肌触りの1枚で、あることとないことについて、再度考えさせられる作品。
 

OGRE YOU ASSHOLE - ムダがないって素晴らしい - YouTube
 
 

7. Unseam'd / BUFFLO


 
文句なしのデビューアルバム。カナダのモントリオール発、インダストリアルの雰囲気漂うアンダーグラウンドミュージック。ヒップホップあり、ドリルンベースあり、ポストクラシカルあり…全編に漂う緊張感。夜の音楽。気品のある暴力性がたまらない。
 
 

6. Bécs / Fennesz

Becs

Becs

 
僕の周囲にあふれる雑音には景色がなく、一方でその景色からは既に音楽が鳴ってはいないことを突きつけてきた、甘美で暴力的なノイズの海。終わることのない夏の続きは、歴史を更新し今をとらえ続けることで力をつけてきたノイズミュージックの雄たちにさらなる前進の意思を与え、訪れるべき未来をわれわれに提示してくれるだろうか。それは誰にも分からないが、今はただこの誰もいない場所と一つになっていたい、そう思わせるには十分すぎる6年ぶりの会心作だ。
 

05 Fennesz - Bécs [Editions Mego] - YouTube
 
 

5. Wig Out At Jagbags / Stephen Malkmus & The Jicks

ウィグ・アウト・アット・ジャグバッグズ

ウィグ・アウト・アット・ジャグバッグズ

 
僕のヒーローは、今作でもまた、ヒーローだった。ソロキャリアを重ねるごとに、彼の奏でる音楽的豊かさがどんどん増しているように思える。ほんと、かっこいいよ。
 

Stephen Malkmus & The Jicks - Cinnamon And ...
 
 

4. Are We There / Sharon Van Etten

Are We There

Are We There

 
本当に、本当に素晴らしい。前作で手練れなブルックリンコミュニティから学んだものを完璧に消化・昇華したセルフプロデュース作。人間の業ども思えるいくつかの感情を歌いあげながら(今作では彼女のヴォーカルも冴えまくっている!)、諦念と後悔とを解放し、日々に赦しのまなざしを与えてくれる。それでもその先あるいは傍らにあるのは、必ずしも快いものばかりではない。だが、僕らは結局は日々を行くしかないわけで、彼女もまたそのことを真正面から受け止めている。関係性を放棄しない誠実さは、ともすれば「放棄させない」とする得体のしれない者たちの汚い手を振り払うひとつの武器に、逆説的になりうるかもしれない。あまりに感動的な、あまりに力強いパーソナルなアルバム。
 

Sharon Van Etten - Taking Chances(Official ...
 
 

3. Plays the Stephen Parkinson Songbook / The Ryan Driver Quintet

Plays Stephen Parkinson Songbook

Plays Stephen Parkinson Songbook

 
トロントのジャズバンドのデビュー作。すでに10年以上のキャリアを積んでいるとのことで、非常に熟成されたサウンドが聴こえる。演奏されているのは、アルバムのタイトルに冠されているとおり、Stephen Parkinsonというギタリストが書き下ろした楽曲なのだが、歌詞やボーカルのチェットベイカーのような歌声などまるでスタンダードナンバーのような風情がある。だが…全編を通してギター(一部サックスも)だけがその文脈から逸脱した表情を見せている。ジャズという音楽の自由さと前衛の生まれる鼓動のようなものが感じられてひどく心を動かされた。
 

The Ryan Driver Quintet - Birds In Spring - YouTube
 
 

2. Faith in Strangers / Andy Stott

FAITH IN STRANGERS

FAITH IN STRANGERS

 
エコールドパリの一員、アメデオ・モリディアーニの彫刻の向こうに見えるのはニューヨークの町並み。島国で鎖国的に暮らし、憂鬱を気取りながら、それでいてグローバリズムの暴力性に耳を塞いで震え上がる僕らは何を思えばいいのか。ダンスフロアから距離を置きつつも、決して観念的な世界には堕しないリズム。フィールドレコーディング、機材のサンプル音、そしてけだるく挿入される「clap your hands」のリフレイン…。
 
楽しい気分になるレコードではないが、自らの周りでさまざまに機能する「壁」を融解させるこのサウンドトラックは、周囲の喧噪に対して悪意の念を向けたりあるいはひとりで自嘲の笑みを浮かべるとき、ただそこにある。時代は少しずつ確実に次へと進んでいる。アートが再度力を持つ時代の幕開けはすぐそこかもしれない。そして今度こそ、それが幸せの入り口であってほしい。
 

Andy Stott - Faith In Strangers - YouTube
 
 

1. ナマで踊ろう / 坂本慎太郎

ナマで踊ろう(通常盤)

ナマで踊ろう(通常盤)

 
あえて抵抗しない、が強烈なカウンターとしていられる時代は終わったということなのだろうか。ずいぶんと直接的な怒りや疑念が並んでいる。それでいてサウンドはまるで僕らを骨抜きにするかのような気だるくそれでも耳心地のよいラウンジミュージックになっている。恐ろしい…。ここ数年の全体主義的傾向、集団に対して信頼度が高すぎる潮流…。さて、ここで奏でられる音楽は現実への強烈な警告だと思うが、果たして。これもまた、形を変えた記録と記憶についての音楽であると思う。
 

あなたもロボットになれる feat. かもめ児童合唱団 / 坂本慎太郎 (zelone records ...