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Wowee Zowee !

わーうぃーぞーうぃー!

2012にんじんBEST DISC 40 vol.8

5. White Rabbits / Milk Famous

Milk Famous

Milk Famous


今年はSpoonもVia Audioも新作がなくて淋しいなあと思っていたら出ました、いいのが。前作をSpoonのダニエル・ブリットが、今作はそのspoonの過去4作、もちろん名作『Ga Ga Ga Ga Ga Ga』にも携わっているマイクマッカートニーがプロデュースとあってもうそれだけで毛穴と耳穴が全力で歓喜の声をあげる音響ソリッドポップ。ジャキジャキしてるぜ!ロックンロールへの批評性を備えたモダンなロックンロールとしてのSpoonの系譜は、北米インディシーンの宝だ。僕はむこう何年も一連の関連作品群を愛聴し続けるだろう。

【つべ】White Rabbits - Temporary(←クール!)
【つべ】White Rabbits - Heavy Metal

4. すとーりーず / ZAZEN BOYS

すとーりーず

すとーりーず


ポテサラがくいてぇ。


3. INNER KINGDOM / FoZZtone

INNER KINGDOM(内なる王国)

INNER KINGDOM(内なる王国)


すでに2013年にはさらなる高みを目指して最新作がドロップされているが、2012年の段階で凡百のバンドをはるかかなたに置き去りにしたロックオペラ/コンセプトアルバムをリリースするにまで至った。気高い王国は自らのうちに。あの忌々しい出来事を機に、内省的な表現へと舵をきった人間が大多数を占める現代で、悲しみをフィジカルで代謝しようとする大きな一歩。作品を通してその試みは、大きく成功している。愛を釣り合わないものとする視座も、性/生と真正面からぶつかっていこうとするそのアティチュードも、初作から常に更新され続けるその世界観も、僕は絶対指示である。彼らはポピュラーミュージックの皮をかぶりながら、なかなか挑戦的なことをしている気がする。
 
【つべ】FoZZtone LOVE

2. たからじま / シャムキャッツ

たからじま

たからじま


「君に優しくすると損する わけのわからんまま 夜更かしは続く」(おとといきやがれ)

前作『GUM』に収録されていた「GET BACK」を聴いたとき、(MV含めて)ついに日本にもPavementが現れてくれたかと歓喜に震えた僕をよそに「なんか(Pavementに)似てるって言われたんで聴いてみたら、好きになりました」みたいなインタビュー。それでこそだ。それこそが、だ。ロックンロールがかつて内包していた、放っておいてくれよの批評性。ああ、ロックンロールニヒリズム。性急なカウントと遮二無二なギターでそしてやる気のないコーラスで幕を開けるオープナー「なんだかやれそう」からもう最高だ。タイトルも最高だ。有意味と無意味との狭間をギリギリのラインで往復する、その危うさと何にもなりたくないというアティチュード。「渚」なんて名曲もしれっとかけたりするポテンシャルも期待大だ。この余裕のない国で、どこまで何でもないことを是とし続けることができるか。ここからのドキュメントは、きっとユースの革命のその記録と意匠をともにすることになるだろう。だが彼らは斜めのまままっすぐ進む、あの平衡感覚を保ちながらこう言うだろう。「放っておいてくれよ」と。
 
【つべ】シャムキャッツ - なんだかやれそう
【つべ】シャムキャッツ - No.5

1. My Lost City / cero

My Lost City

My Lost City


音楽は世界を変えはしないけれど、正しいポップミュージック、つまりは真に美しい芸術には魔法が宿っている。そんなマジカルな瞬間を味わいたければ、トーキョー発の新しい風・Contemporary Exotica Rock Orchestraの新作を聴かない手はないだろう。前作「WORLD RECORD」における、iPod狐の嫁入りの並列に代表される都市とモダンの切り取り感覚とサウンドにおけるポップレコードマナーの正当なアップデート。2枚目でこれである。彼らの登場に歓喜の声を挙げた僕らの興奮は正しかった!祈りを捧げるかのような冒頭「水平線のバラード」を切り裂くパーカッションでスタートする「マウンテン・マウンテン」から多幸感あふれるカラフルな、それでいてスマートさを失わない(この辺りは現代の感覚らしい)楽曲がこれでもかと繰り出される。もちろん、ただ単に底抜けな明るさがあるわけではない。「ダンスを止めるな」(「マイ・ロスト・シティー」)のリフレインは現状に対するリアクションとしても素晴らしいし、「cloud nine」が「(I found it) Back Beard」の発展形だったりと遊び心も忘れない。「船上パーティー」におけるスリリングさも痛快。そして何より、エンドロールにあたる「わたしのすがた」で紡がれる「ああなんか/一切の合財が/元通りになったよなこの街/ああそうか/ほんの1年くらい前は/文字通り/眠り込んでいたんだな」これは紛れもなくこの作品全体がわれわれが生きる都市生活の乱反射の1つであることを体現している。あの時から、何が変わって、変わらなくて、元通りになったのだろう。そうしたクレバーさや、知性、冴え、気品。どれもが僕らが僕らである理由だ。だがそれ以上に、苦しいときも、いや苦しいときこそ僕らは楽しむことを忘れちゃいけない。そのことを都市特有のちょっぴりの寂寥とともにこんなにも風通しよく伝えてくれる。僕は今、とてもうれしい気持ちだ。ポップミュージックのなんたるかを、同世代が雄弁に鳴らしてくれている。分裂気味な、それでいて絶妙なバランス感覚は、都市に住まう僕らが手にしたうまくやるための武器なのかもしれない。

【つべ】cero / My Lost City発売予告映像
【つべ】cero / マウンテンマウンテン