Wowee Zowee !

わーうぃーぞーうぃー!

2012にんじんBEST DISC 40 vol.7

10. SASAGUCHI FOR PEACE / 笹口騒音ハーモニカ

SASAGUCHI FOR PEACE

SASAGUCHI FOR PEACE


冒頭「プロポーズ」があまりに美しすぎる。諦念とそれでものはざまで揺れながら、ボロボロの身体で日々をゆく僕らにとって、友人になる、恋人になる、家族になる、結婚するということは、それ以外の全てをしてしまった上で選択されるものなのだ。だって僕ときみは、同じだから。恐ろしく時に醜悪なそれらの行為をカジュアルに肯定する人々を見るとき、僕は少しずつ死んでいく。
 
「気がふれても忘れぬよう 君のはしっこ食べちゃおう 君は僕の故郷 僕は君の故郷」
 
中盤の重苦しいプロダクションを潜り抜けて人魚とのユニゾンで極めてシンプルに飾り気もなく歌われるラストの「NEW MUSIC, NEW LIFE」がとことん優しい。何でもない、どこにもいけない僕らのことを全力で肯定する。そして太陽を雨を空を破壊する社会を否定する。君が元気で生きていることと僕はそのまま死んでしまうことの対比。さあみなさん。美しく、はなればなれになりましょう。


【つべ】笹口騒音ハーモニカ NEW MUSIC,NEW LIFE たとえば僕が売れたら

9. 坩堝の電圧 / くるり

坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)(通常盤)

坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)(通常盤)


こちらですべて書きました。


8. のーまんずらんど / NRQ

のーまんずらんど

のーまんずらんど


New Residential Quarters、略してNRQ。ceroはContemporary Exotica Rock Orchestraだね。うん。ノーマンズランドというコンセプトはとても魅入られるものがある。それをひらがなにしてしまう風通しの良さも。誰もいなくなった街でなり続ける音楽、誰もいないからこそ鳴らすことのできる音楽。でもそれはここではないどこかではなくて、今ここ。そもそも僕らが住む街にはだれもいない、だって僕らは誰でもないから。冒頭から表題曲までのA面からは、久々にインテリジェンスを感じる音楽との邂逅があり、「うぐいす」以降のB面からは途方もないほどの慈愛を感じる。語らないことが言葉を運んでくる。そのことに改めて気付かせてくれる好盤。聴く環境によっても新たな発見があるだろう。

【つべ】NRQ「ボストーク」

7. Better Luck Next Life / Royal Baths

Better Luck Next Life

Better Luck Next Life


新世代ベルベッツチルドレンの在り様をニューディケイドの幕開けと同時に高らかに宣言した1stから2年。自信とフィードバックノイズに溢れた最高にクールな最新作を上梓。今作もまたキノコや草や土のあやしい香りがそこかしこに立ち上っている。
 
【つべ】Royal Baths "Black Sheep"

6. リトルメロディ / 七尾旅人

リトルメロディ

リトルメロディ


これまでで最もコマーシャルなプロダクションとうたごころに接し、僕は『オモヒデオーヴァドライヴ』における「八月の月」を思い出していた。アーバンソウルな風情漂う「サーカスナイト」やかきむしるような思いがよみがえる「圏内の詩」。ここには諦念とそれでもとそれらを包み込む優しさがある。『Memory Lane』がお気に入りだ。そう、「君はまだお姫様」。僕もまた故郷を失った。どうしても帰れないの?と聞きたいときだってあるんだ。

【つべ】七尾旅人 "サーカスナイト"