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若者たち / サニーデイ・サービス

若者たち若者たち
サニーデイ・サービス

ミディ 1995-04-21
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その日僕は近所の神社にお参りに行くために大通りを歩いていた。
長めの信号に足止めを食らい、強い風と変わり映えしない街の風景に憂鬱を気取っていた青年の脳裏に飛び込んできたのは、このアルバムだった。
  
自分を知り、何かをすること、「自ら」を刻むことばかりを求められ、コムロファミリーが支持を広げ「夢なんて見るモンじゃない/語るモンじゃない/叶えるものだから」なんてことが語られていたあの頃、なにもしないことを肯定していた彼らがスティーヴン・マルクマスと同様に僕のヒーローとなるのに時間はかからなかった。

とはいえ、当然リリース当時はまだ白球を追いかけるのに夢中だった小学生だ。その後約10年後に人生の根幹部分に寄り添うような存在になるわけだから、簡単に音源を手放すような人間じゃなくてよかったと思う。もちろん、弊害もあるが。あの横断歩道(震災後も佇まいは変わっていなかった)を渡りながらノスタルジアなんかではなく、これこそモダンでこれこそ自身のモラトリアムを代弁してくれるものだと歓喜に震えたのを覚えている。

あるいは長すぎるそれを意味するのかもしれないが、今でもなにもしない休日には決まってこのアルバムが聴きたくなる。それはたぶん彼らの表現が、自らの美学としてどこかに根付いた、その証左だろうと思う。

とにかくラストのタイトルナンバー「若者たち」が白眉だ。

きみの白い腕はまるで 青いたたみのようだね
はりついてしまった淋しさが毎晩 寂寥の彼方へと 溶けだしていく
広がって来る不安におそわれ 「明日になれば」「朝が来れば」とか 
昨日も そう思った

ぼくらはと言えば 遠くを眺めていた
陽だまりに座り 若さをもてあそび
ずっと泣いていた ずっと泣いていた

あれは大学1年の夏だったか。この曲を「聴いた」その瞬間に僕のその後の3年半は決まった。


スカスカな音づくりとその後一貫して紡がれるメソメソしたところのないカッコよさ、そっけなさ、そしてとびきりのダサさは今も色あせない。当時「まさしくそうなんだよ!」と心酔していた青年は、ネクストステージで「当時はこうだったな」なんてはにかんだりする。この一人メタ合戦みたいな日々はおそらくは一生続いていくのだろう。それが「成長するってこと」なのかもしれないね。
 
将来、自分に子供がもしできたとして、このモラトリアムに共感できるくらいには、平穏な世の中であってほしい。良くはならないにしても、ね。